個人指導について

これまで講師養成講座を受講後に、「もっと高度な話力をつけたい」と、さらに個人指導を希望される方がおられます。

■ 講演で聴衆の心をしっかりつかむ法

青木毅氏(株式会社リアライズ 代表取締役)の個人指導をさせていただいた。
90分間の講演原稿づくり〜表現方法まで、2日間の予定で依頼されたものだ。

青木氏はミッションライフコーチングの第一人者で、自社商品を普及するために、社運を掛けて、大勢の聞き手に対して、動機付けする講演の仕方、きっちり示唆を与える話し方、聴衆から「もう一度聞きたい」とリピートされる講演方法を自分に課していた。

彼は元々、外資系販売会社のトップセールスマンだった。彼がトップセールスの座を不動にした要因は、1対1の商品販売についての考え方や販売方法だった。こうするとこうなる、だから次にこうすると…。この原因と結果の連鎖を長年のセールス体験を通して体系づけていた。

その核心部分は、質問技法を駆使したヒアリングにある。しっかり聴いてニーズを確認するだけではない。このレベルなら、ほとんどのセールスがやっていることだ。だが彼はもう一段深いところで捉えていた。それは売り手と買い手の心に信頼関係が生まれるかどうかだ。成果を肉眼で確認できることではない。長年のセールス現場で鍛え抜かれた直感の冴えがものをいう。信頼関係が生まれた、と判断できてプレゼンに移行することができ、短時間にクロージングに誘導するのである。

セールスは技術で売るのでなく心で売る。これが青木氏の信条である。買い手との一体感を重視した販売方法で売ってきた、だからトップセールスの座を長年、射止めることができた。あまりにその方法が素晴しい結果を生んだから、それを法則化した。

それは書籍にもなった。しかし、その法則化してきたことが、いざ講演となったとき、迷いの原因になるのだから人生は面白い。ご承知のように、講演には1対1のヒアリング工程がない。だからお客様との心の交流ができない、それなのに動機づけしなければならない。これが講演での不安要因だった。


私は「講演の冒頭は話し手と聞き手の共感タイム、講師と聴衆の心の交流が欠かせない、必ず、自分の体験を述べて、お客様と共感しなければならない」としつこく言っていたが、彼に、その真意がなかなか伝わらなかった。

共感を目的に、彼は、自分の体験を試みようと必死だった、だがよく聴いていると、それは単に彼の履歴の羅列に過ぎない。聴衆が興味を示す内容になっていない。私は、私と青木氏との間に、その部分の理解の深さに「ズレ」があることに気づいた。そこで、別の事例を取り上げてアドバイスした。

その瞬間、彼の表情が変わった。いままで、どこかすっきりしなかった顔つきが、彼本来の爽やかに表情になった。共感タイムの深い意味と、そのためにどのような話をしなければならないかが、やっと、青木社長の腑に落ちたのだ。それは、個人指導の終了直前の、2日目の夕方5時少し前だった。

その後、夕食を共にした。青木氏は笑顔で言った。「私はセールス時に、お客様の状況を聞き、その話に私自身の気持ちや体験を絡ませて共感を得ます。同時に、本題の内容へ導くために、その必要性を喚起し、セールスする」と。

さらに続いた。「やっと(声が弾んでいた)、わかったのです。講演も一緒だということが…。要は、お客様の状況を聞く代わりに、私の体験談などを通して、聴衆に共感してもらい、同時に、私の本題の内容への必要性を喚起し、講演を展開すればいいのですね。これって、セールスも講演も一緒だということですね。これまで10年以上抱えてきた、私の深刻な悩みが近藤先生の指導で一気に解決しました」と。

個人指導という協同作業を成し遂げて、2人で飲んだビール、とても美味しかった。

彼の真髄である…、心の交流を経て、プレゼン〜クロージングに至る、「心のセールス手法」は、セールスと講演で少し形を変えたが、講演でも不動である。講演家としても、トップセールスの座を射止めてほしいものである。セミナー申込・資料請求・講演依頼はこちらよりお願いいたします